● 受賞者の業績
ヒト脳の情報処理の圧倒的大部分は潜在レベルで遂行され、意識に昇るのはごくわずかにすぎないが、受賞者はこの潜在脳に注目し、心理物理的・行動的・神経科学的アプローチを以下のトピックに適用して、目覚ましい成果を挙げ、機械との調和に資するヒトの潜在脳の理解に貢献した。
①3Dレイアウトの視知覚、特に遮蔽・半透明面の処理、②多感覚統合、特に「二重フラッシュ錯視」などの錯視現象、③選好意思決定の心理・神経機構、④チョーク・フローの神経対応(単独、チーム)、⑤ヒト脳の潜在磁気感覚、⑥ポストディクション(Postdiction:後付け再構成)
学術的な成果は、総計184本以上の査読付き論文として専門誌に掲載され、またサイエンスミュージアムや一般向き書籍・論考の執筆を通じ、アウトリーチング、科学ジャーナリズムの分野でも大きな足跡を残した。これらの業績は、これまで明らかでなかった人間の潜在脳の現象やメカニズムの理解を深めており、人間との調和を目指す機械を設計する上で、非常に重要な知見を与えている。
過去受賞者
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- 第1回(2010年度)功績賞
- 都甲 潔
- 九州大学大学院 システム情報科学研究院
主幹教授・研究院長
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- 第1回(2010年度)特別賞
- 金出 武雄
- カーネギーメロン大学
生活の質工学研究 センター所長
ワイタカー記念全学 教授
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- 第2回(2012年度)功績賞
- 下山 勲
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科
教授
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- 第2回(2012年度)功績賞
- 西尾 章治郎
- 大阪大学大学院 情報科学研究科
教授
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- 第2回(2012年度)特別賞
- 川人 光男
- (株)国際電気通信基礎技術研究所
脳情報通信総合研究所 所長
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- 第3回(2014年度)功績賞
- 江刺 正喜
- 東北大学 原子分子材料科学 高等研究機構 教授
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- 第3回(2014年度)特別賞
- 小川 誠二
- 東北福祉大学 感性福祉研究所
特任 教授
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- 第4回(2016年度)功績賞
- 染谷 隆夫
- 東京大学大学院 工学系研究科
教授
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- 第4回(2016年度)功績賞
- 山本 裕
- 京都大学大学院 情報科学研究科
名誉教授
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- 第4回(2016年度)特別賞
- 浅川 智恵子
- 日本アイ・ビー・エム株式会社
東京基礎研究所 IBM フェロー
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- 第5回(2018年度)功績賞
- 浅田 稔
- 大阪大学大学院 工学研究科
教授
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- 第5回(2018年度)特別賞
- 石川 正俊
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科
教授
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- 第5回(2018年度)特別賞
- 板倉 文忠
- 名古屋大学
名誉教授
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- 第6回(2020年度)功績賞
- 横矢 直和
- 奈良先端科学技術大学院大学
学長
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- 第6回(2020年度)特別賞
- 石黒 浩
- 大阪大学大学院 基礎工学研究科
教授
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- 第7回(2022年度)功績賞
- 中村 仁彦
- 東京大学大学院 工学系研究科
上席研究員・名誉教授
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- 第7回(2022年度)特別賞
- 合原 一幸
- 東京大学
特別教授・名誉教授
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- 第8回(2024年度)功績賞
- 太田 淳
- 奈良先端科学技術大学院大学
理事・副学長
先端科学技術研究科 教授
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- 第8回(2024年度)功績賞
- 菅野 重樹
- 早稲田大学 理工学術院 学術院長
創造理工学部総合機械工学科 教授
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- 第8回(2024年度)特別賞
- 下條 信輔
- カリフォルニア工科大学
教授
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- 第8回(2024年度)特別賞
- 土井 美和子
- 情報通信研究機構 監事
東北大学 理事
奈良先端科学技術大学院大学 理事
※所属・職名は受賞当時